太り過ぎにご注意を!〜慢性炎症と肥満〜

こんにちは、久家です。

以前に糖質制限の意味について書きました。糖質制限は世の中で言われいるような単なるダイエット法として捉えると、しょーもないブームで終わってしまいますが、ちゃんと意味を理解して正しく行えば、とても意義のある食事法です。

そして糖質制限は、あらゆる病気の原因とも言われている「慢性炎症」を抑える意味でも、とても重要な役割を果たします。

そこで今回は

「慢性炎症」

についてお伝えします。

目次

慢性炎症とは?

慢性炎症というものをご存知でしょうか。例えば、捻挫やギックリ腰をした時に起こる激しい痛み、腫れ、熱感などは急性の炎症です。それとは違って慢性炎症は全く自覚症状がない炎症で、ほとんど全ての病気の原因ではないかとも言われています。

体の不調や病気はよく氷山に例えられます。高血圧という氷山が見えていたとしても、その氷山の下には何倍もの体の異変が起こっていて、その一部が血圧の上昇という形で現れているだけなのです。
 
海の下の大部分には…

・栄養価のない食生活
・添加物や保存料たっぷり使った加工食品
・運動不足で座りっぱなしの日常
・睡眠を十分に取らず体の回復を怠る日々
 
そういった長年の生活習慣で積み重なってできた根本的な原因が、大きく広がっています。
 
氷山の見えている部分(体の不調として認識できる部分)はほんの一部で、体の不調や病気の真の原因は水面下に大きく隠れているということです。
 
ではその真の原因とは何でしょうか?

それが慢性炎症です。
 
体の中に慢性の炎症があると、さまざまな部分に異常が現れます。慢性炎症は、消化吸収、ホルモン、免疫などの異常などあらゆる機能不全を引き起こし、人によっては、

血圧が上がったり…

脂質代謝異常が出たり…

血糖値が上がったり…

骨がもろくなったり…

うつ病になったり…

さらには、ガンになったりするのです。免疫細胞の機能が低下し、すぐに風邪をひいたりもします。このように、慢性炎症はあらゆる病気の引き金となりうるものなのです。

この慢性炎症は自覚症状のない微弱なものなので、1つの病気として自覚されるまでに10年〜20年かかります。

例えば…

歯周病だと一番最初に歯茎に異常が出てから、本格的にはがグラグラしてくるまで大体20年。

ガンは最初のガン細胞ができてから、検査で発見できる最小のレベルのガンになるまでに約10年。

生活習慣病も異常が出るまで、大体これらと同じくらいのスパンです。すぐは出ないんですね。40超えてから健康診断に引っかかり始めるのは、10年20年前からの生活習慣の積み重ねなわけです。

こういう目に見えない炎症をぼやのうちに鎮火していく作業をどれだけ地道にできるかが、健康を考える上でとても重要になります。

炎症と肥満

炎症がずっと続くと「変性」と呼ばれる現象が起こります。変性とは文字通り、性質が変わる、別物になるということです。器質的な変性は不可逆なので1回なると元には戻りません。

だから変性する前に何かしないといけない。通常、変性するまでに10〜20年必要であり、変性する前に炎症を抑えることが重要となります。

肝硬変とかがわかりやすい例だと思います。あれは肝臓が繊維化した状態で元には戻らないです。なってしまったらあとは肝臓癌にならないことを祈るしかない…だから繊維化する前に何とかしないといけないわけです。

肝硬変、ガン、うつ病、動脈硬化、心不全、糖尿病、歯周病、アルツハイマー、リウマチ…、ほとんどすべての病気は炎症と変性を伴っています。変性が起こる前に炎症を止めれれば不可逆ではないので治すことは可能です。

では炎症を抑えるにはどうしたら良いのでしょうか。炎症の最大のリスクファクターは「加齢」です。なぜ歳をとると炎症が起こりやすくなるのかというと、加齢に伴い体内に炎症を引き起こす物質が増加するからです。

そして…

肥満も炎症の原因です。

脂肪細胞からは炎症を引き起こす物質が大量に出るんですね。

加齢はどうしようもないのでコントロールできる要素の中では、炎症が起こる1番のリスクは肥満だと考えられます


肥満は様々な経路で炎症を増加させることが分かっていますが、1番知っておいてほしいのは肥満になるとインスリンの感受性が悪くなるということ。血糖値を上げるホルモンはたくさんありますが、下げるホルモンはインスリンしかなんです。なのでインスリンの感受性が悪くなると、血糖値が下がらなくなるわけです。

インスリンの働きは、血液中の糖質を細胞内に引き込むこと。インスリンの感受性が悪いというのは、血液中に糖質がいっぱいあるのに働かないということです。

その結果、血糖値がずっと高いままになってしまう。そして、その高い血糖値を下げようと脳はさらにインスリンを出すように指令を出します。血液中にインスリンが溢れかえり、適切なインスリンの量が分からなくなって、インスリンの機能自体がわけがわからなくなってしまっているのが糖尿病です。

インスリンが大量に出るといろんな不具合が出るわけですが、その1つがインスリンヒエラルキーの逆転です。インスリンヒエラルキーとは、インスリンが細胞内に糖質を引き込む時の優先順位のようなもの。

通常であれば、

①筋肉 ②内臓 ③脂肪

この順番なのですが、インスリンが大量に出ると…

①脂肪 ②内臓 ③筋肉

と逆になってしまうんです。

こうなってしまうと、ただでさえ肥満で脂肪細胞が多すぎるのに、脂肪細胞に優先的に糖質が運ばれるようになるので、どんどん太っていくという負のループに入ってしまいます。そうなると、増えた脂肪細胞からさらに炎症を誘発する物質が出るようになって…

このように、肥満は炎症をもたらしその炎症が病気へとつながっていくのです。

万病の元「異所性脂肪」とは?

炎症と肥満について最後にもう1つ。肥満になって増えすぎた脂肪はどうなるでしょうか?

脂肪と聞くと、皮下脂肪、内臓脂肪という単語が浮かぶ人が多いと思いますが、脂肪が増えすぎると皮下脂肪や内臓脂肪に収まりきらず、異所性脂肪というものになります。

これは本来脂肪が蓄積するはずがない組織(肝臓、筋肉、心臓など)に蓄積した脂肪です。

本来あるはずがない所に何かがあるということを体は「異物が入ってきた」と理解します。

例えば肝臓に脂肪が少しついたとしたら、この異物を排除しようと免疫細胞たちが大量に集まってきます。そしてこの異物(脂肪)を食べるわけですが、この食べてる間に起こるのが炎症です。

つまり、

異所性脂肪がついた部分は常に炎症が起こる

ということです。

「皮下脂肪より内臓脂肪の方が体に悪い」という話はみんな知っていますが、本当に体に悪いのは異所性脂肪で、これは間違いなく万病の元と言えるでしょう。



いかがでしたか?

慢性炎症というものを軸に肥満についてお伝えしてきましたが、今回の内容を一言でまとめると…

「太りすぎるな」

ということです。

「肥満が体によくない」というのは誰もが知っていることですが、何となくそう思っているのと、今回お伝えしたような文脈で捉えるのとでは、意識が全く違ってくるのではないでしょうか。

太り過ぎにはご注意を!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

久家

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