姿勢は「作る」ものではなく「習慣」にするもの

こんにちは、久家です。
 
最近施術をしていて感じることがあります。それは…

「姿勢が悪くなっている人が多い」

ということ。
 
初めてご来院される方や通い始めたばかりの人が悪いのは、当たり前といえば当たり前ですが、もう何年も通い続けて姿勢が良い状態だった人たちが悪くなっている…
 
これってなぜだと思います?
 
施術中に聞いてみると、「年齢」とか「筋力」と答える人が多いです。もちろんこれらはあり得なくはないですが…

例えば50代で「運動とかほとんどしません」という人だったとしても、自分の体を支えきれないほど筋力が低下しているとは考えにくいし、ご高齢の方でも綺麗な姿勢の人はたくさんいます。
 
そして僕の経験から言わせてもらうと、姿勢だけでなく腰痛、膝痛、肩こりが治らないのを「年齢」や「筋力」のせいにしている人で、健康になった人を見た事がありません。

 では何が原因なのでしょうか?

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姿勢は習慣

まず大前提として…

姿勢は習慣です。
 
習慣と聞いて何を思い浮かべますか?
 
・歩く
・座る
・歯を磨く、
・食事をする、
・自転車に乗る
・スマホを見る
・夜になったら寝る
 
など、挙げていけばきりがないですが、習慣とはすなわち無意識にやっていることです。「当たり前にやっていること」と言ってもいいかもしれません。
 
姿勢もこれらと一緒です。
 
姿勢が悪い人は、「気づいたら猫背になっている」とよく言いますが、猫背になってしまうのはその人の体にとって、猫背が当たり前だからです。
 
姿勢が良い人は、意識してその姿勢を作っているのではなく、何もしなくても良い姿勢が当たり前なんです。
 
「姿勢を良くしたい」という人は多いですが、そのほとんどが良い姿勢を「作る」ことで終わっています。
 
良い姿勢は一時的に作るものではなく習慣にするものです。

毎朝歯を磨くのと同じくらい当たり前に、毎日食事をするのと同じくらい当たり前に、良い姿勢を当たり前にする。姿勢を良くするとはそういうことだと理解してください。

良い姿勢を当たり前に!

大事なことなので繰り返しますが、もしあなたが今の姿勢を変えたいと思っているなら、

良い姿勢は「作る」のではなく「当たり前にする」

この意識を持つことが第1歩です。
 
「別に無意識にできなくても、良い姿勢を作れればいいんじゃないの?」と思う方もいると思います。どんなことでも習慣化するって難しいことですからね。しかし僕は、

意識して良い姿勢を作っても意味がない

と考えています。
 
どういうことかと言うと…

例えば1日デスクワークの人が、仕事中ずっと姿勢を意識し続けるなんて到底無理ですよね。っていうか、そんなに姿勢のことばかり気にしてたら仕事に集中できません。
 
家でくつろいでいる時も一緒です。姿勢を気にしながら椅子やソファーに座っていたら、楽しめるものも楽しめませんよね。スポーツをやっている時、勉強をしている時なども一緒です。

姿勢なんて意識していたらやるべきことに集中できないんです。
 
しかしどんな場面であれ、姿勢は重要な要素です。悪い状態が続けば体に不調が出てくるし、日常のパフォーマンスにも関わってきます。

だからこそ、良い姿勢を当たり前にする必要があるのです。

人間は習慣でできている

以前ご来院されていた患者さんに、マラソン好きの方がいました。頭が前に出て…巻き肩で…背中が丸まって…と典型的な猫背。
 
「マラソンの時は姿勢良く走れてるんですが、仕事中の猫背が治らなくて」
 
本人はこうおっしゃっていましたが、実際はマラソン中も姿勢は崩れていたと思います。ほぼ間違いなく。なぜなら…

人間は習慣で生きている生き物だからです。
 
「習慣が99%で、残りの1%が新しいことにチャレンジしている瞬間」これくらい人間は毎日を習慣で生きていると僕は思います。
 
「言葉は嘘をつけるが、行動は嘘をつけない」とよく言われますが、その嘘をつけない行動を繰り返して、無意識にまでなったものが習慣なので、習慣がその人自身を表しているといっても過言ではありません。
 
なので、仕事や日常生活の中で猫背の姿勢で過ごしていたら、間違いなく走る時も意識しなければ猫背になっていると思います。
 
もちろん意識すれば良い姿勢で走れると思いますが、30分、1時間…とずっと姿勢を意識して走るのは無理です。姿勢を意識して走るのと無意識に良い姿勢で走るのとでは、パフォーマンスにも大きな差が出てくるでしょう。
 
「習慣」とか「無意識」という言葉を聞くと、なんとなく分かった気になってしまいますが、どれくらいのことを意味しているのでしょうか?
 
例えば、普段自転車に乗る時に、「〇〇筋を使って姿勢をキープして…」「△△筋を使ってペダルを踏み込んで…」なんて意識して乗りませんよね。食事でお箸を使う時に、「親指をこう使って…」「人差し指をこう使って…」なんて考えて使っていませんよね。どちらも何も考えずに当たり前にできていると思います。
 
習慣ってこういうレベルでやれるようになることです。
 
習慣というものは、良き習慣だけでなく、悪しき習慣もこういうレベルで体に染みついています。猫背の人というのは、自転車に乗るのと同じように、お箸を使うのと同じように、何も意識せず当たり前に毎日猫背なんです。
 
これから先、そんな毎日を過ごしていったら体はどうなっていくでしょう?
 
ぜひ考えてみてください。

心が変われば習慣が変わる!

YouTubeやSNSなどを見れば、「たったこれだけで猫背が治る!」みたいなものがたくさんアップされていますが、これってどう思います?
 
本当にすぐに治るのであれば、確かに魅力的ではありますが、そんなにすぐ治るわけがありません。なぜなら…

姿勢は習慣だから。
 
何かちょっと練習しただけで、自転車に乗れるようになれましたか?お箸を使えるようになれましたか?
 
なれませんよね。
 
失敗を重ねながら、何度も繰り返すことでやっと意識してできるようになり、さらに繰り返すことで無意識にできるようになってはじめて習慣化されます。
 
新しい習慣1つ作るのって結構大変な事なのです。
 
現代人はどんなことに対しても、「楽に」「効率的に」「苦労せずに」みたいな事を求めます。もちろんそれができるに越したことはないですが、習慣を作るってそんなものではありません。

野村克也監督の著書「野村ノート」の中でこのような言葉が紹介されています。

心が変われば態度が変わる。

態度が変われば行動が変わる。
 
行動が変われば習慣が変わる。

習慣が変われば人格が変わる。

人格が変われば、運命が変わる。

運命が変われば、人生が変わる。

        野村克也著「野村ノート」

 
この言葉からも分かる通り、習慣を変えるには行動を変えないといけない、もっといえば心を変えないといけないわけです。
 
「楽に」「効率的に」「苦労せずに」という心の持ち様で、果たして行動が変わり習慣が変わるでしょうか?
 
僕は100%無理だと思います。
 
誰もがスマホやパソコンを使い動かなくなった僕ら現代人が、今の社会の中で良い姿勢を習慣にするのはとても難しいことかもしれません。これからはさらに難しくなっていくでしょう。だからこそ今がんばって良い姿勢を習慣化しておくことは、とても価値のあることではないでしょうか。
 
「楽に」「効率的に」「苦労せずに」という心の持ち様は捨てて、行動を変えて良い姿勢を習慣にしていきましょう!
 
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

久家

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