こんにちは、久家です。
食事について考える時、多くの人が健康番組なんかで「この食材が良い」「このサプリが良い」と紹介されるものに飛びついてしまいます。
健康番組では専門家が出てきて科学的根拠に基づいて説明されるので、その「栄養素」を摂ればいいと思ってしまうのでしょうが、「栄養素」よりも考えるべきものがあるのです。
それが前回お伝えした「戦略」です。
→食事で考えるべきは「栄養素」ではなく「戦略」
戦略を立てる際には影響力の大きな所から順番に押さえることが重要で、優先順位としては、
①腸内環境の適正化
②脂肪摂取の最適化
③抗酸化と解毒
となります。
体に良いものをバランス良く摂るのではなく、この順番で栄養摂取をしていくことがポイントです。
「良いアブラが体にいいのでは?」
「アンチエイジングをしたいからまずは抗酸化から」
そう考える人もいると思いますがそれでは非効率だと僕は考えています。
ではなぜ腸内環境が一番影響力が大きいのでしょうか?
今回から腸内環境についてお伝えします。
体は腸で吸収したものでできている
「汝の食事を薬とし汝の薬は食事とせよ」
古代ギリシアの医師ヒポクラテスの言葉です。
この言葉からも分かる通り、普段食べているものがその人の健康に最も影響を与えるものであるということは、古代ギリシアの頃から認識されていました。
現代でも「あなたの体は食べたものでできている」なんてよく言われますよね。しかしこれ…正確には少し違います。なぜなら食べたものは腸で吸収されないと体には作用しないからです。
どんなに質の良いアブラを摂っても…
どんなに良質な抗酸化のサプリメントを摂っても…
腸でちゃんと吸収されなければ全く意味がありません。
だから僕は患者さんたちに「あなたの体は腸で吸収されたものでできている」とお伝えしています。
さらに細かく表現すれば、「腸内細菌がどう処理して吸収するか」によって決まります。要は、腸内環境次第ということです。これが、腸内環境が一番影響力が大きいと言う理由です。
体調不良の原因は胃腸のオーバーワーク
栄養戦略としては、腸内環境を整えるために「腸活」からスタートするわけですが、あなたは腸活と聞いて何を思い浮かべますか?
・ヨーグルトを食べる
・スムージー、酵素ドリンクを飲む
・発酵食品を摂る
・食物繊維を摂る
・乳酸菌のサプリメントを摂る
みたいなことではないでしょうか。どれも腸にとっては必要なことなのですが、これらをやる前にやるべきことがあります。それは…
“胃腸を休めること”
現代人は2つの意味で「食べ過ぎ」と言われています。
1つは量の問題。
あなたは1日何食食べていますか?世間一般では1日3食しっかり食べるのが健康と思われがちですが、
それは昔の話。
昭和30年代の日本食が一番バランスの良い食事、ということを聞いたことがあります。それを3食食べるのであればまだいいですが、令和になった現代…食べているものは全然違いますよね。
それに加えインターネットの普及により生活スタイルも大きく変化し、そもそも動かなくなった現代人…。食べるものは欧米化して高カロリーになり…、生活スタイルはパソコンやスマホにより動かなくなって…
こんなに変わっているにもかかわらず、昔と同じように3食しっかり食べましょうっておかしな話ですよね。
もう1つが「時間」の問題。
“胃腸が休まる時間がない”という意味での食べ過ぎです。
こちらの方は意識している人は少ないように思います。たとえ1食で食べる量が少なかったとしても、1日3食食べて、間食もして、寝る直前まで何かを食べていたら…胃腸は休む暇がありません。
例えば、休みなく毎日過酷なトレーニングをして体をとことん追い込み続けてばかりでは、オーバーワークになって体は強くなりません。間にうまく休養を入れるからこそトレーニングの効果が出るのです。それと一緒で胃腸を毎日酷使し続けていれば、いくら体に良いものを摂っても効果は出ないでしょう。
現代人の体調不良の大半は「胃腸のオーバーワークが原因だ!」と言ってもいいくらいです。
もしあなたが何かしら腸活に取り組んでいてあまり効果が出ていないとしたら…、意識して食べない時間を作ってまずは胃腸を休ませてみましょう。
腸に良いものを摂ることは腸活をする上でもちろん必要なことですが、そんな事は胃腸をちゃんと休ませてからの話です。
トレーニングをしたら休息する時間を作りますよね?
仕事が忙しくて疲労が溜まったら、ゆっくり体を休ませたいと思いますよね?
胃腸もそれと同じです。
「使ったら休める」
このごく当たり前のことを腸活のスタートとして行なってみてください。
腸活はコレからスタート!
胃腸を休めるとは別の言い方をすれば、「食べない時間を作る」ということです。近年の健康ブームで
断食やファスティングが健康法として確立されてきています。
例えばファスティングをネットで検索すれば、ダイエット法として紹介されている記事が大変多く見られます。確かに痩せることができるのですが、「ダイエット法」と捉えてしまうと…痩せたら終わり、ですよね?
胃腸を休めることって、ダイエットの時にだけに必要なものではありません。
働きっぱなしの胃腸を休めて体本来の働きを取り戻すことで、結果としてダイエット効果をはじめ、様々な効果が現れるのです。だから、胃腸を休めることを一時的なものとして捉えるのではなく、睡眠や運動、食事と同じように習慣にしてほしいのです。
まずは、現在食べない時間が何時間なのか自分の食生活を把握しましょう!
食べない時間を意識することが第一歩です。
ではどれくらい食べない時間を設けたら良いのでしょうか?まずは…12時間を目標にしてください。体脂肪が燃えやすくなるなど健康上、良い影響は多いです。
食べない時間とは連続して食べない時間です。これには寝る時間も含めてOK。
そして固形物を摂らないということです。水やお茶、スムージーなど水分は摂って頂いて構いません。
12時間と聞くと半日なので長く感じますが、8時間寝るとしたら寝る前2時間、起床後2時間、何も食べなかったら12時間です。これだったらできる気がしませんか。
ファスティングを習慣に!
12時間ができたら、この食べない時間を徐々に伸ばして16時間を目指しましょう!空腹の状態が16時間続くとオートファジーという機能が活性化されることが分かっています。
オートファジーとは、飢餓状態になった時に
①細胞の中身を分解して栄養源にする
②細胞の新陳代謝を行う
③細胞内の有害物質を除去する
という機能。簡単に言えば、細胞を若返らせる機能です。
2016年に東工大の先生がこのオートファジーの研究でノーベル賞を取りましたが、それ以降注目を浴びるようになりました。病気にかかるのを防いだり老化を緩やかにできる可能性が見えてきています。
すでにがんや感染症、認知症などの新しい治療法に応用できると期待が高まっていますし、「アンチエイジング」「美肌」との関連性が模索されていて化粧品業界も注目しています。
食べない時間を設けることで胃腸を休めるだけでなく、細胞まで若返り、さらに美容効果まで!このオートファジーの効果を期待できるのが
16時間ファスティング
と呼ばれるものです。
もちろん最初から16時間できればいいですが、これって最初はなかなか難しいこと。徐々に慣らしていく方が習慣化しやすいです。12時間から始めてそこから少しずつ伸ばしていけば、体は勝手に慣れてきます。
最初から16時間とかは考えなくて大丈夫。
腸活の効果をしっかりと出すためには、オーバーワークを強いられてる胃腸を休めて元気にすることが大前提です。
良いものを摂ることももちろん大事なことですが、それは食べない時間を作れるようになった後に考えましょう!
いかがでしたか?
僕自身は16時間ファスティングを習慣にしてもう5年程が経ちます。毎日の習慣になってしまうと、ファスティングをしているという感覚は全くありませんね。
使ったら休めるという当たり前のことをやっているだけ。「夜になったから寝る」というのと同じ感覚です。
食生活の改善を考える時に「良いものを摂る」ことをまず考える人が多いですが、食べ物にこだわったり、サプリメントを摂取したりするのは…
胃腸がちゃんと働ける環境を作ってからの話です。
まずは「食べない時間」を意識的に作ってご自身の胃腸を労ってあげてくださいね。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
久家